加藤和俊著『3時間でわかる漁業権』(2014年 筑波書房)を読みました

加藤和俊さんの『3時間でわかる漁業権』という本を読みました。

「田舎に移住して農業やりたい」という人がときどきいますよね。でも「田舎に移住して漁業やりたい」とか「田舎に移住して林業やりたい」という人はあまり見聞きしない気がします。別になにかの統計で確認したわけでもないので、あくまでも個人的な印象ですけど。ひとまず林業の方はおいておくとして、漁業の方をざっくり調べてみることにしました。

「漁師 Uターン」「漁師 Iターン」などで検索すると、漁師になりたい人を募集している自治体がいくつも見つかります。実際に移住して漁師になった人を紹介しているところもあります。漁業体験や研修、中古船の斡旋や給付金などいろいろサポートしてもらえるようですが、給付金の額が年100万年程度だったりして、知らない土地に移住して何もないところから始めるには少々微妙な額というか勇気がいる額だなと思いました。ある程度自己資金がないと厳しそうです。

あと必要そうなのが、この『3時間でわかる漁業権』で扱われている「漁業権」です。「漁業権」という言葉は知っていましたが、これまで気にしたことは特にありませんでしたし、具体的にどういった権利なのかもよく知りません。「海で勝手に魚介類をとると、なんか密漁になるらしいよ」程度の知識しかありませんでした。

小学校で漁業には「沿岸漁業」「沖合漁業」「遠洋漁業」があると習いますが、「漁業権」の対象はこのうちの「沿岸漁業」だけで、「沖合漁業」「遠洋漁業」については漁業権という形ではなく、船単位で都道府県知事や農林水産大臣の許可を受けるという形になるそうです。「沖合漁業」「遠洋漁業」の場合は船も大きくなり、乗組員やら設備やらとそれなりに大きな資本がないと無理そうなので、「田舎に移住して漁業やりたい」ってレベルではなくなってしまいますね。

漁業権の権利が及ぶ海域はなんとなく領海内全部だと思っていたのですが、実際に漁業権が設定されている海域は、海岸から沖合数百メートル〜数キロ先程度までの範囲なんだそうです。その先は沖合漁業・遠洋漁業の海域になります。意外と漁業権が設定されている海域は狭いものなんですね。

漁業権は都道府県から地域の漁協に与えられて、さらに漁協から各漁師に振り分けられているので、一般的に漁業権を得るには、まずはその地域に移住して漁協に加入しなければなりません。自治体の漁師募集でもこのあたりはサポートしてもらえるようです。

と、大雑把に調べてみたのですが、知らなかっただけで田舎に行って漁業始めた人っていうのも結構いるんですね。