大田弘著『航空図のはなし』(2007年 成山堂書店)を読みました

「マップ」じゃないよ「チャート」だよ。

大田弘さんの『航空図のはなし』という本を読みました。タイトルの通り、航空図について書かれている本です。

代表的な航空図のひとつに「ジェプセンチャート」というものがあるそうです。

アメリカのジェプセン社が発行しているもので、世界中の航空会社が採用しています。

ジェプセン社の創業者エルレイ・ボーガ・ジェプセンさんは、第一次世界大戦第二次世界大戦戦間期アメリカ西部で郵便機パイロットをしていたのですが、事故で仲間が次々と命を落としてしまうので、安全に飛行できるように航路周辺の様子や目印なんかをメモしまくったんだとか。そのメモがやがて「ジェプセンチャート」に進化していったそうです。

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(日本語版はありませんでした。)

戦間期の郵便機パイロットといえば『星の王子様』のサン=テグジュペリさんを思い出します。『星の王子様』も砂漠に不時着したパイロットの話でしたし、『人間の土地』『夜間飛行』なんかにも当時の郵便機の無茶っぷりが描かれていました。レーダーも無線もGPSもなく、飛行機自体の信頼性も低い時代ですから、例えればポンコツ車で目隠しして遠くまでドライブするようなもんですかね。

『航空図のはなし』は2007年に出版された本なので、内容的にはもういろいろ古くなっているのかもしれません。

これからはGPSや電子航空図が主流になっていくだろうみたいなことが書いてあって、この15年間でずいぶん変化したもんだなあと感じました。携帯電話にGPSが付いて地図上でどこにいるか分かるようになったと喜んでいたのも、ちょうど2000年代の中頃だったような気がします。当時はまだ測位に時間がかかるし精度も低かったので、あまり使い物にならなかったですが。

最後の方の大田さんと全日空の機長との対談も興味深かったです。